【偉大な親父の背中】その後ろ姿を追いかけた19年間

世界にたった一人の親父へ

 

 

親父は昔からロクに俺の相手なんて

してくれなかったよね

 

毎日毎日仕事へ行き

母さんといつも喧嘩ばかり

 

 

お互い共働きだから疲れがたまって

何度もぶつかり合ってたね

 

家に帰れば喧嘩ばかりの二人と

ろくでなしの兄貴がいるだけの家

 

 

そんな家に帰りたくなかった

本当は家族四人仲良く暮らしたかった

 

 

何をしたってどんなに頑張ったって

親父は褒めてくれなかったね

 

親父にとって俺がやって来た事なんて

大した事ないのかもしれない

 

 

けど親からのまともな愛情だけは

ずっと欲しかったよ

 

出来れば嫌いになりたくなかった

 

小さい頃は

もっと構って欲しかった

 

 

高校中退してる親父にとって

家計を持つってことは

 

毎日休みなしで働かなくちゃいけない

 

 

仕事ばかりして家の事に目が行かなくなって

大変なのは分かるけど

 

もっと俺ら兄弟をちゃんと見て欲しかった

 

 

その結果が今の兄貴と俺を作ったから

 

 

少しずつ大人になって考え方も変わって

「この人は俺なんか見ちゃいない」

 

 

そう思ってた

 

 

だからもう家族とも父親とも思わなくなって

 

 

それでも昨日母さんに夢の話をした時に

やればいいと母さんは認めてくれた

 

 

けど

「親父が絶対反対するから言えない」

そう言ったら母さんは

 

 

「あの人が反対するのはお前に失敗して欲しくないからだよ」って聞いて

 

初めてちゃんと向き合ってくれてる気がした

 

 

高校中退して失敗した親父にとって

辛くても上手くいってる今の現状を捨ててまで

そんなリスクを冒してまで挑戦する夢に

意味なんかないとやっぱり親父は反対してきた

 

 

「無理だからやめとけ」

 

 

そう言われただけだった

 

 

親父はいつも俺に冷たい

ずっと昔からそう

 

何をしたいと言っても

何がやりたいと言っても

何処へ行きたいと言っても

「無理だからやめとけ」

 

 

そうやって俺の夢を否定してきた

 

俺が嫌いだからそう言ってんだ

じゃあもう勝手にやるよ

 

 

でも親父が俺に否定してくる

その本当の理由は違くて

 

 

俺に失敗して欲しくないからだった

 

 

親父が俺に失敗して欲しくないと

そうやって強く望み否定するのは

 

 

兄貴のことがあったからだと思う

 

 

親父と母さんは自分達の人生初の

子供であり長男である兄貴を可愛がった

 

 

やりたいことをさせて

望むものすべて与えて

どんな事も否定しなかった

 

 

兄貴の成功を家族や祖父母が願い

自由に人生を送らせた

 

それは全て

兄貴の成功のため

 

 

けど兄貴は成功するどころか

失敗し正しい道から逸れてった

 

 

家族全員が溺愛してた兄貴は

期待していた結果とは真逆へ向かい

 

 

それ以来、親父は

俺の夢を聞くたびに否定否定否定した

 

 

でもね、親父

 

 

俺は兄貴とは違うよ

 

真面目な学生生活なんて送れなかったし

勉強だってまともにしなくて

失敗する前の兄貴より酷くても

断言してみせるよ

 

 

俺は失敗なんてしない

 

 

だって俺には頼もしい仲間が三人いて

プライベートも仕事もそいつらと一緒に

過ごしたいって思える

 

 

その三人の中には多分家族よりも

一緒に喋って笑って喧嘩してヤンチャして

 

お互い良いとこも悪いとこも知ってて

ムカつく事もあって、でもその分だけ

そいつの良いとこも知ってて

 

俺の人生で一番長く俺の隣にいてくれる

そんな大事な奴が一人いる

 

俺にはそいつのいない世界なんて

これっぽっちも楽しくないんだよ

 

 

今の俺にはそいらが

新しい家族なんだ

 

 

一緒に夢を見てくれる奴らがいる

一緒に茨の道を選んでくれた奴らがいる

一緒に隣で笑い合える奴らがいる 

 

 

もう俺は大丈夫だよ親父

 

 

俺は決して親父と母さんに

愛されてないわけじゃなかった

 

 

三歳の頃、命を救ってくれた

だから今の俺がいる

 

 

もし本当に愛されてないのなら

俺は今頃、この世にはいなかった

 

 

最後に親父、

 

 

 

俺はもう大丈夫だよ

もう弱かったあの頃とは違うよ

 

 

今の夢を捨てるつもりはない

 

 

ずっと嫌いだったけど今は違う

 

 

いつか必ず俺達四人で夢を叶えて

その偉大な背中を超えて

 

俺が見た夢の先を見せてやる

 

 

だからもう心配なんてしなくていい

 

 

いつか俺が一人前になって夢を叶えたら

一緒に酒でも飲みに行こうよ

 

 

十九年間追い続けてきた

その偉大な背中を越えるために

俺は一回全て捨てるよ

 

 

良くやったなって言わせてみせる

 

 

今日までありがとう

心の底から感謝してるよ父さん

 

 

今度この話をするときは

夢が叶ってる時だね